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業界実話怪談。背筋も凍る、本当にあった怖〜い話【深夜の出版社での出来事編】
いつも通り深夜残業をしていたら・・・
これはK村が某ファッション誌の編集部にいた頃の話。出版社の多くは自社に写真スタジオを構えている。K村の勤めていた出版社でも、5階にスタジオがあった。
その日は、日中にスタジオでモデル撮影をし、また明日の撮影準備をするために22時過ぎまで編集部で作業をしていた。すると、その日の撮影に来ていたモデルからLINEが届く。『ごめんなさい、スタジオにポーチを忘れちゃったみたいで!確認していただけますか?』とのこと。
すぐに1階の編集部から、5階のスタジオに向かう。夜のスタジオは誰もいないので真っ暗。電気を点けて、入ってすぐ左手にあるメイクルームを覗くと、そこにはポーチらしきものが目に入った。「はいはい、これね」とそれを手に取り、スタジオを出ようとすると、奥からガシャンと何かが倒れる音が聞こえる。
違和感がだんだん恐怖に・・・
「何だろう?」と思いつつ、奥を確認しに行くと、そこには大きなカメラの三脚が倒れていた。ただ、三脚の脚はしっかりと開いており、どう考えてもグラついて倒れるような状況ではない。そんな様子に違和感を覚えながらも、見過ごすこともできず、その三脚を持ち上げたその瞬間。突然スタジオ内の電気が、点いたり消えたりを繰り返し始めたのだ。その時間はおよそ10秒。短時間とはいえ、さすがに「やばい!」と感じたK村。
急いでスタジオを飛び出し、エレベーターのボタンを押す。が、全然エレベーターは動かない。何度ボタンを押しても来る気配がない。恐怖からどうにかその場を去りたいK村は、非常階段から1階まで駆け下りた。どうにか編集部に着くと、そこには同じく作業していた先輩がいて、ホッと胸をなでおろす。
安心したのも束の間のこと
その先輩はK村の斜め向かいの席に座っている。荷物で顔こそ見えないものの、互いの頭はしっかり見える位置だ。たまらず先輩に「聞いてくださいよ!!」と泣きつくK村。事の成り行きを話すと、先輩はキョトンとした顔でこう言った。「え、K村、ずっと編集部にいたよね?てか今さっき明日の撮影の打ち合わせしたじゃん(笑)」と。青ざめていくK村。
先輩曰く、K村が5階に行っていたはずの時間、彼女の席には黒い頭がたしかに見えていたそう。ちなみに、当時の編集部で黒髪の女性はK村しかいない。
デスク越しに翌日の集合時間などを伝えたところ、確かにK村の声で「了解です!」と返ってきたそうだ。そしてその女性がフラッと席を離れたわずか数秒後に、息を切らしたK村が帰ってきたのだという。
経緯をすべて話しても、「またまた~やめてよ~」と先輩はにわかに信じがたい様子。それだけ精巧な〝何者か〟がいたのだろう。しかし明らかに動揺しているK村の様子を見てさすがに恐怖を覚え、ふたりは早急に帰宅することになった。
この出版社ではこんな噂がある。書籍の編集をしていたが、ファッション誌の編集部に異動
したいと思っていた女性が、志半ばで亡くなり、まだその人が今も社内を彷徨っていると。もしかしたらその人がK村に代わって、翌日の撮影現場に行こうとしていたのかもしれない。
文/andGIRL編集部