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業界実話怪談。背筋も凍る、本当にあった怖〜い話【キャンプ場で起こった恐怖体験編】のメイン画像

カメラマンHが“見えないもの”に敏感になったのは、16歳の夏

バスケ部の合宿から帰って寝ているときだった。ぐったりとベッドに横になると、遠くからキーンという耳鳴りがしてきた。最初は疲れているだけだろうとやり過ごしていたら、その音はだんだん近づいてきて、耳元でピタッと止まる。その瞬間、ドンッ!と体の上になにかが乗ってきた。

正体を突き止めようとしたが・・・

全身ピクリとも動かず、喉をロックされたように声も出ない。頭の中でどうにかしなきゃと焦りながら、どれくらいの時間を過ごしたのかわからないまま、気が付くと金縛りは解けて、ずっしりした重みもなくなっていた。

それ以降、金縛りは頻繁に繰り返すようになった。だんだん耳鳴りのタイミングはつかめてきたし、上半身を少しだけ浮かせるくらいの動作はできるようになった。金縛りになるたびに自分の体に乗っている“何か”を確かめようとしたが、どうしても目には見えなかった。

22歳になるとその症状はピタッと止んだ

その代わりに、土地から受ける影響が強くなった。「なんとなく、イヤな感じがする」という感覚は多くの人が体験しているだろう。Hはその感度が高くなったようで、自分が招かれざる土地に行くと吐き気に襲われる。

Hは個人的に、岩手県の中尊寺と、神奈川県の鶴岡八幡宮近くにある源頼朝の墓には近寄らないようにしている。残念ながら相性が合わないからだ。いわゆるパワースポットと呼ばれるところは、良くも悪くも力が強い。

2012年の夏、友達夫婦ら数人でキャンプへ

梅雨明けすぐの7月で、ジメジメした湿気が肌に重くまとわりついていた。
普段からキャンプが趣味のHは、自分がなんとなく気乗りしないキャンプ場の目星をつけている。行き止まりに面した施設だと変な気が淀んでいるし、湖の近くは禍々しい空気が溜まりやすい。だから、広々とした山間を好んで選んでいた。

今回は友達が予約してくれたので、何も気にせず現地に向かう。そこは個人経営のこじんまりとしたキャンプ場で、山中湖近くの山の奥にある、プライベート感たっぷりの施設だった。宿泊するためのトレーラーハウスが2棟用意されている。とくに空気の淀みやイヤな感じはなく、気持ちよく余暇を過ごすことにした。

夜も更け、ふとトイレへ向かおうとすると・・・

早い時間から始めたBBQでお腹が満たされると、子供たちはトレーラーハウスの周りで遊び、いい感じに酔いがまわった大人たちはぐだぐだ会話を楽しんでいた。なぜかHは酒が進まず、ふとトイレに行こうと思った。30メートルほど先の広いスペースに設置されているトイレまで1人で歩いていく。すっかり日は暮れてあたりは真っ暗だった。扉を開けて中に入る。そして扉を閉める。すると、Hの右の首筋から肩にかけてぬるっとした感触が襲った。

「気持ち悪い…」

そう思った矢先、平衡感覚を奪われてガクッと膝から崩れ落ちた。これは何かに“入られた”と、確信めいた恐怖を感じた。汗が滝のように吹き出し、全身が尋常じゃない震え方をしている。昔の金縛りの経験が功を奏してなんとか自分の意識を保つことはできたものの、トイレから出ても歩くことができず、ほふく前進をしながら必死にみんなのもとへ戻った。

その様子を見た友達は、「なになに、汗かきすぎじゃない(笑)?」と、異変に気付かず談笑を続けている。Hはそのままベッドにもぐりこんで眠った。

朝になると憑かれたような感覚は消えていた

ここに到着した時はなにも感じなかったけど実際は変な気が流れているのかもしれないと思い、ある程度キャンプ場の全容が写るように画角を合わせてカメラを向けた。撮影し終わってモニターを見てみると、青い空と、2棟のトレーラーハウスが昨日と変わらない姿で立っているだけだった。

後日、写真を見返して見るとそこには・・・

家に帰って写真のデータをパソコンに転送して整理していた。一緒に見ていた嫁が急に血相を変え、低い声でつぶやいた。

「骸骨がいる」

1棟のトレーラーハウスの右上に、骸骨の形をした煙が立ち上がっていたのだ。ちょうど、人の顔と同じくらいの大きさで。

後日聞いた話だが、このトレーラーハウスはアメリカから買い付けたそうだ。持ち主は大富豪で、娘の誕生日パーティーをするために買ったものの、それ以外に使い道がなくすぐに売り払ったという経緯があった。

もしかしてそこで事件が起こったのか、それとも日本にたどり着くまでに霊を呼び寄せたのかはわらかない。少なからずキャンプ場の土地ではなく、トレーラーハウスが憑かれていたのだ。心霊写真は数あれど、“ドクロ”で登場するのはアメリカらしいと、Hは笑った。

取材・文/飯田帆乃香

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