Lifestyle
【専門家に聞く】不妊の原因になるのってどんなこと?アラサーだからこそ知っておきたい不妊の原因を探る検査を解説!
今までは妊娠について、どちらかというと〝できないように〟と考えがちだったけど、アラサーになったら〝どうしたらできる?〟と考えることが増えるのかも。「妊娠したい!」と思ったときのために、妊娠と不妊治療についての基礎知識をお教えします。
アラサーだから知っておきたい〝不妊〟について学ぼう!
妊娠について学ぶと、それがどれだけ奇跡的なことなのかがわかるはず。ちょっとしたことが原因で妊娠しづらくなってしまうから、どんなことが原因になるかを知っておくことも大切。
教えてくれたのは・・・岡田有香先生
聖路加国際病院にて子宮内膜症や低用量ピルの診断、がん治療前の卵子凍結に携わった後、杉山婦人科で不妊治療を学ぶ。悩みを相談しやすく通いやすい雰囲気の婦人科を作るため、グレイス杉山クリニックSHIBUYAの院長に就任。
【グレイス杉山クリニックSHIBUYA】
電話番号:03-6427-5670
住所:東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti 5F
HP:https://grace-sugiyama.jp/
〝まだ若いし〟って思っている人は要注意!1年間妊活していても妊娠しなければ不妊です
以前は、希望して2年間妊娠できなければ不妊症と定義されていたけれど、2015年からこれがチェンジ。今は、基本的に1年以上妊娠しないと不妊症といわれるようになりました。20~34歳の人が1周期で自然妊娠する確率は約30%。排卵と性交のタイミングが比較的合っていれば、半年で90%くらいのカップルが妊娠できるといわれていて、1年以上妊娠しなければその後に自然妊娠する確率はとても低いのだそう。ただこれは34歳までの話。35歳なら6カ月。40歳以上なら、すぐにクリニックを受診して検査から始めるほうが効率的かもしれません。
要因は男女共にある!不妊の原因になるのってどんなこと?
排卵、受精、着床などはすべて女性の体の中で起こるため、妊娠しづらい原因は女性のほうにあると思われがちでした。でも、調査をしてみると、女性側だけでなく男性側に原因があるケースも多いことが判明。下の円グラフを見ると、女性が原因になっている割合が多いものの、男性のみに原因があるケースと男女両方に原因があるケースを合わせると48%にもなり、不妊の原因の約半分が男性側にあることがわかります。妊娠は卵子と精子が出会わないと成立しないもの。パートナーと協力をして妊活をすることが何よりも大事です。
検査をしても、どこにも明らかな不妊の原因が見つからないケースが約11%もあります。加齢による卵子や精子の機能の低下は原因不明に該当します。
こんな症状がある人はクリニックを受診してみて
生理周期が極端に長いor短い
生理周期が39日以上あいたり、24日以内に次の生理が来るなど、生理周期に異常がある人は、排卵をしていないことが多々あります。
生理の量や期間がおかしい
生理の量が多かったり期間が8日以上と長い人は、子宮筋腫などで子宮内にコブがあることも。生理期間が2日以内の人も注意が必要。
生理痛がある
子宮筋腫や子宮内膜症が疑われます。これらの病気があっても妊娠できますが、位置や大きさによっては不妊の原因になることも。
年齢が35歳以上
35歳を超えると妊娠率がダウン。病気など明らかな原因がなくても、妊娠しづらいと考えるほうがいいかも。
「出産したい!」と思ったらまずは検査を!不妊の原因を探る検査を解説
子どもを望むならまずやるべきことは検査。何が原因で妊娠しづらい状況になっているかを把握することで、どのような治療をしたらいいのかがわかります。ここでは、クリニックで行われる検査を男女別にご紹介。
【POINT】不妊の検査を男女が同じタイミングで受けるのが一番効率的!
どんなに女性が検査を受けても、タイミングを合わせても、精子に問題があれば妊娠できません。100人に1人の割合で無精子症の人もいるから、男女が同時に検査を受けるのが一番!
女性の検査
血液検査
生理周期に合わせて血液中のホルモン量を測る
血液を採取して、ホルモン値から卵巣機能に異常がないか、排卵しにくい原因がホルモンにないか、子宮内膜を厚くする黄体ホルモンが正常に分泌されているかなどをチェックします。ホルモンの分泌量は生理周期によって変わるので、数回受ける必要があります。
内診・経腟超音波検査
排卵の有無、卵巣の腫れや筋腫をチェック
診察台に座った状態で腟からプロープと呼ばれる細い棒を入れ、超音波で子宮や卵巣を画像で見る検査です。卵巣の腫れや子宮筋腫、子宮内膜症などの異常がないかをチェックできるだけでなく、排卵前と後の2回行うことで、正常に排卵しているかどうかを確認することもできます。
子宮卵管造影検査
卵管の通りを確認しながら治療もできる
卵子と精子が出会う場所、卵管の通り具合を確認します。X線をあてて子宮から造影剤を入れるので、卵管が詰まっていたり細い場合は圧がかかってかなり痛いことも・・・。ただ、造影剤が入ることで卵管の通りがよくなるため、検査後半年は自然妊娠の確率がアップ。
男性の検査
精液検査
精子の量や濃度、運動率をチェック
数日の禁欲期間の後の精子の量や濃度、運動率、質、正常な形のものがどれくらいあるかを調べます。精子内の白血球が増えていると妊娠しづらくなるため、白血球の量もチェック。時間がたつと精子の状態が変わってしまうので、クリニックでの採取がベスト。
プラスアルファでこんな治療もある!
子宮鏡検査
細い内視鏡を子宮の入り口から入れ、卵が着床する場所を見る検査。ポリープや筋腫、子宮内の癒着などを調べることもできます。麻酔をかけずに行うことができます。
MRI検査
強い磁石と電磁波を使って、子宮や卵巣の状態を断面図として取ることができる検査です。卵巣の腫れの原因を調べるときや、子宮筋腫や子宮内膜症の診断のために行われることがあります。
構成・文/水浦裕美 ※andGIRL2024年冬号より