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乳がんは9人に1人の女性がかかる病気│アラサーが知っておきたい乳がんの知識
乳がんは女性がかかるがんの中で最も罹患数が多い病気ですが、どこか他人事として考えていませんか?早期発見と治療のためにアラサーから知っておくべきことをお教えします。
アラサーになったら意識すべき「乳がん」のこと
教えてくれたのは・・・乳腺外科医 尹玲花先生
専門クリニックが少ない実情を知り、乳腺専門医をめざす。聖路加国際病院乳腺外科にて乳腺診療に約10年間携わったあと、「女性の悩みに寄り添う身近な存在」を目標にクリニックを開設。現在は都内と関西で3つのクリニックを運営している。
【mammaria tsukiji】
住所:東京都中央区築地3-7-2 築地スカイビル5F
電話番号:03-3545-0880
HP:https://www.mammaria.jp
20代や30代でもかかる人がいる!まずは乳がんについて正しく学ぼう
乳がんは9人に1人の女性がかかる病気です!
国立がん研究センターが2020年に発表した「最新がん統計」によると、日本人女性が生涯で乳がんにかかる確率は10.6%。9人に1人の女性が乳がんにかかる可能性があるわけです。20年ほど前は18〜20人に1人だといわれていたため、単純計算で約2倍になったことがわかります。患者数が増えた理由は明らかになっていませんが、ライフスタイルの欧米化が一因だと考えられています。
上のグラフからわかるように、乳がんにかかるのは40歳以降が多く、20代といった若年層で乳がんになるのは5%以下。だからといってアラサー世代は無関係だとはいえません。乳がんは日本人女性がかかるがんで最も数が多いため、わずか5%の罹患率であっても、かかる人数はゼロではありません。だから、「私は大丈夫」と他人事ではいられないのです。
そもそも乳がんとは、乳房の中にある乳腺という臓器にできる悪性腫瘍のこと。乳腺は主に、母乳をつくる小葉と、つくられた母乳を乳頭まで運ぶ乳管から構成されています。乳がんのほとんどは乳管で発生するため、乳がんといえば「乳管がん」であることが大半。乳管などで発生したわずかながん細胞は徐々に増殖し、2cmほどの大きさになると、触れるとしこりとしてわかるようになります。片方の胸にだけにコリコリとした手触りの塊を見つけたり、肌表面近くに塊があることに違和感を覚え、検査を受けてがんが発覚する人もいるようです。
ただ、触れられるくらいの大きさに育つまでには、個人差がありますが7〜8年もかかるといわれています。しこり以外の自覚症状としては、乳頭から出血したり、しこりの場所によっては痛みを感じることも。初期段階では症状に気づきにくい病気のため、発見されるまでの間にがん細胞が血液やリンパの流れに乗って他の場所に転移する可能性もあります。
早期であっても乳房切開の手術は避けられない!
乳がんの進行度は乳房内での広がり具合やリンパ節や他の臓器への転移の有無によって、0期(ステージ0)からⅣ期(ステージ4)の5段階に分類されますが、現状の標準治療ではたとえ0期の早期であっても手術は避けられず、手術では乳房を切開し、がん細胞のある乳腺を摘出します。がんを早期に発見できれば部分切除だけですみ、手術を受けても乳房の形をキープできますが、がんが進行している場合は乳房を全摘出するだけでなく、リンパ節などまで取り除く必要も。がんを取り除いたあと、希望があれば手術で乳房を再建することも可能です。再建手術には、シリコン製の人工乳房を使う場合と、本人の組織を移植するケースがあります。
手術やホルモン療法など長ければ治療に10年かかることも!
手術後の治療は、がんのタイプや進行程度にもよりますが、乳がん手術後には抗がん剤投与や放射線治療、ホルモン療法が行われます。乳がんの細胞は女性ホルモンの影響を受けて分裂・増殖するため、再発防止目的で行われるのが女性ホルモンの産生を抑えるホルモン療法です。ホルモン療法の期間は、10年など長期化することも。ホルモン療法中でも一旦休止して妊活・出産をすることはできますが、これから結婚と出産を控えるアラサー世代が乳がんにかかることは、体力面だけでなく精神面においても負担になることは確実です。
乳がんは原因があまりわかっておらず、予防することができないため、早期発見・治療することが最善策です。ただ、乳がんは遺伝的要素が大きく影響していると考えられるので、家族に乳がんになった人がいればアラサー世代でも検診を受けるようにしてください。また、40歳からは毎年の検診が必須です。ただ、検診だけではがんを発見できないこともあるため、しこりや乳頭からの出血などの異変を感じたらすぐに受診すること。正しい乳がんの知識を身につけ、いざというときのためにかかりつけの乳腺専門医を見つけておくこともおすすめします。
こんな人は要注意!乳がんリスクが高い人の特徴
- 母親、姉妹、祖母、おばに乳がんにかかった人がいる
- 喫煙経験がある
- 飲酒をする
- 肥満傾向にある
遺伝的要素は若い世代の乳がん発生に影響を及ぼしている可能性が高いため、家族内に乳がんにかかった人がいる場合は注意が必要。飲酒は量に比例してリスクがアップ。適量は週にワイングラス2杯程度。
文/水浦裕美 ※andGIRL2024年秋号より
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