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不倫(不貞行為)の定義は肉体関係の有無!?どこから慰謝料の請求が可能か弁護士が解説のメイン画像

Check!どこから?不倫(不貞行為)の定義や浮気との違いを弁護士が解説!

弁護士の松本先生曰く、不倫と浮気のボーダーラインは、次の2つで判断するとのこと!

  • 性交渉、あるいは性交渉類似行為があるか
  • 婚姻関係であるか

「不倫」とは法律用語ではなく、法律上は不倫のことを「不貞(な行為)」と言います。不貞行為とは、最高裁判所によって「配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」と定義されています。

つまり、結婚したパートナー以外と性行為、またはそれに似た行為をした場合は不貞行為と認定される可能性があります。

一方、恋人同士でも使われる「浮気」とは、不貞行為に該当しない行為のことを指す言葉です。たとえば、異性と2人で食事に行ったり頻繁に連絡を取り合ったりすることは、人によっては浮気と認定されるものの、「法律上では不貞行為に該当しない」ことになります。

Check!デートやキスは不倫なの?不倫行為になる条件2つ

ここからは、具体的な例をもとに不倫に該当するケースと該当しないケースを詳しく見ていきましょう。

不倫に該当するケース

不倫に該当しないケース

・配偶者以外の異性と肉体関係をもつ

・配偶者以外の異性とホテルや家に泊まるなど、性交渉と見られる行為をする

・配偶者以外の異性と連絡をとる

・配偶者以外の異性とキス・ハグをする

以下で詳しくご紹介します。

不倫に該当するケース

不倫に該当するケースは、「性交渉、あるいは性交渉類似行為が見られる」場合です。
以下で詳しくご紹介します。

配偶者以外の異性と肉体的な関係をもつ

配偶者以外の異性と肉体的な関係をもった場合、不倫に該当すると言えるでしょう。なぜなら、不倫とは、「配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」だからです。

一方、異性と食事に行ったり連絡を取り合ったりしていても、肉体関係がなければ不倫とは言えません。訴えたくても証拠不十分になってしまう恐れがあります。

家に泊まるなど、性交渉と同視できる行為をする

下級審(地方裁判所の判例)などでは、肉体的な関係がなくても、不貞行為であると判断することがあります。家に泊まったり、性交渉があって当然と見られる行為や性行為と同視できるような行為をしたりすることは「婚姻共同生活の平和を棄損する行為」に該当し、不貞行為だと判断できるからです。

たとえば、本番なしのヘルスでサービスを受ける行為や配偶者以外との体外受精、ホテルで風呂に入ったり体を愛撫する行為など。同棲や配偶者以外の異性と旅行に行き同じ部屋に泊まった場合なども「性行為類似行為」として不貞行為に該当する可能性があると言えるでしょう。

不倫に該当しないケース

不倫に該当しないケースは、「配偶者以外の異性との肉体関係やそれに類似する行為が見られない」場合です。
以下で詳しくご紹介します。

既婚者の異性と連絡をとる

配偶者以外の異性と親密な連絡をとっていても、法的に不貞行為とは認められません。なぜなら、連絡のみで不貞行為と断定するのは難しいからです。たとえば、「ホテル行きたい」「今度2人きりで会いたい」といった性的な内容が含まれている連絡。このような連絡だけでは、実際に性交渉と見られる行為をしたとは言えないため、証拠としては不十分でしょう。

しかし、肉体関係をすでに持っていることを示唆するやりとりをメールやSNSの文面でしている場合は、十分に不貞行為の証拠になる可能性があります。そのため、不貞行為の証拠として持っておきましょう。

2人で食事や買い物などのデートに行く

配偶者以外の異性と2人で食事や買い物などのデートに行ったとしても、法的に不倫とは認められません。たとえお互いに恋愛感情があっても、証明するのが難しいためです。

また、友人同士や仕事の取引先と食事に行くことは一般的によくあること。そのため、2人でデートらしき行動をしたとしても、不倫には該当しないでしょう。

ハグ・キスをする

配偶者以外の異性とハグやキスをした場合でも、不貞行為として認められる可能性は低いでしょう。ハグやキスは法律上、肉体関係には含まれないからです。

人によっては浮気に該当する可能性はありますが、ハグやキスだけでは慰謝料を請求するのは難しいでしょう。

Check!どこから慰謝料を請求できる?慰謝料を請求する条件

肉体関係、またはそれに類似する「不貞行為」があった場合、不倫相手、もしくは不倫をした配偶者本人に慰謝料を請求することが可能です。

慰謝料を請求できる不倫

慰謝料を請求できない不倫

・肉体関係がある

・性行為類似行為がある

・肉体関係がない

・性的類似行為がない

・夫婦関係がすでに破綻していた場合

・不倫相手が配偶者を既婚者と知らなかった場合(不倫相手への請求時)

また、松本先生によると、不倫の慰謝料は離婚の有無によって異なるとのこと。

不倫相手に慰謝料を請求する場合の料金相場は、離婚する場合は150万円~200万円、離婚しない場合には50万円~100万円とのこと。もちろん、300万円などが認定されるケースもありますが、レアケースだと言えます。

一方、不倫した配偶者に慰謝料を請求する場合、当事者ということもあり、若干慰謝料は高額になる傾向にあります。離婚する場合は150万円~250万円程度、離婚しない場合は100万円~150万円程度でしょう。

ただし、この金額はあくまで感覚的な数字です。一般的に、慰謝料は婚姻期間や不貞行為時の夫婦関係、不貞行為の内容などのさまざまな事情も考慮されると言われているためです。慰謝料を決める際に考慮される事情は、主に次の6つが挙げられます。

  • 婚姻期間
  • 不貞行為時の夫婦関係(夫婦関係が破綻していないとしても悪化していたなど)
  • 不倫開始の経緯(上司部下の関係で断り切れなかったなど)
  • 不貞行為の内容(回数・期間・子供どもの有無・金銭等の授受)
  • 不倫発覚後の対応
  • 不倫が家庭に与えた影響

慰謝料を請求する方法

慰謝料を請求する手順は以下の通りです。

1. 慰謝料を請求できる有効な証拠を集める
2. 内容証明を送る
3. 示談交渉・訴訟の提起

それぞれ詳しく解説します。

1. 慰謝料を請求できる有効な証拠を集める

慰謝料を請求する際、不倫の証拠として挙げられるものは、肉体関係を示唆する内容です。たとえば、次の7つ。

  • 性行為を撮影・録画した写真や動画
  • 2人でホテルや自宅に入る場面と出る場面を残した写真(顔が鮮明なもの)
  • 宿泊を伴う旅行の写真、予約の画像
  • ラブホテルなどの領収書
  • 録音
  • SNSの画像
  • メールやLINE

不倫の証拠を集めるときは、以下の方法がおすすめ。〝不倫されているかも?〟と思っている人はぜひ試してみてくださいね。

  • 配偶者の携帯の中身を見る
  • 配偶者の通帳の履歴やカードの利用履歴を確認する
  • 配偶者の領収書や荷物を見る
  • 配偶者にGPSをつける
  • 配偶者のSNSを確認する
  • 探偵に依頼する

肉体的な接触や宿泊などを読み取れる、あるいは容易に想像できる証拠をなるべく多く集める必要があります。

また、慰謝料を請求する場合、内容証明(郵便)を不倫相手に送る必要があります。配偶者の携帯に残った不倫相手との通話履歴やSNS上のやりとりなどから、相手側の情報収集をすることが必要なようです。
LINEしか知らない場合は泣き寝入りになる可能性があるので、情報収集が難しい場合は、探偵に依頼して見ても良いかもしれませんね。

なお、証拠を集める際、民事上では原則として違法証拠という概念がないので、盗撮や秘密録音など、プライバシーを侵害する形で集めた証拠も使えると考えていいでしょう。ただし、証拠収集の際に不倫相手に通報されてしまっては元も子もないので、住居の侵入などの法に触れる行為は控えることをおすすめします。

2. 内容証明を送る

証拠が揃ったら、一般的には、不倫相手に内容証明を送ります。

内容証明(郵便)とは法的な書面ではなく、郵便局にて送信した内容を証明してくれる書留郵便のことを言います。松本先生によると、請求相手への本気度を伝える書面として、法的な請求の意思を伝える入り口として機能しているのだそう。なお、内容証明には証拠などの添付はできません。

3. 示談交渉・訴訟の提起

内容証明を送ったら相手の反応を見て、示談交渉または訴訟の提起を行います。

相手から示談の申し入れがあれば交渉を開始、無視される、あるいは示談交渉が決裂するようであれば、訴訟を提起する流れになるでしょう。

慰謝料を請求するときの注意点

慰謝料を請求する際は、〝時効〟に注意しましょう。弁護士の松本先生曰く、不倫を知ってから3年経過すると時効が成立してしまい、慰謝料の請求ができなくなってしまいます。

たとえば、不倫が発覚したものの当時の夫婦関係はそこまで悪くなかったため、一旦は様子を見ることにしたケース。後から夫婦関係が悪化しても、不倫を知ってから3年を経過していた場合は時効が成立しているため、慰謝料の請求ができません。

また、不倫が発覚した直後に、ついカッとなって不倫相手や配偶者の職場へ連絡してしまうのはNGです。名誉棄損罪で罪に問われる場合があったり、「社会的制裁を受けた」という理由で慰謝料減額になったりすることがあるため、注意しましょう。

Check!不倫が発覚したときは慎重に動こう

不倫が発覚した際は、慎重に動くと良いでしょう。感情的になるのは仕方ありませんが、不倫相手や配偶者の職場に連絡するのはおすすめできません。万が一、配偶者や不倫相手に慰謝料を請求したいときに、不利になってしまうことがあるからです。宿泊を伴う旅行の写真やLINEから有効な証拠を手に入れましょう。

監修者/松本理平(青山北町法律事務所)

慶應義塾大学 経済学部経済学科・九州大学法科大学院卒業。複数の都内法律事務所での勤務及び大手金融機関での出向を経て青山北町法律事務所を設立。
現在は、合同会社 青山北町リサーチ 代表社員、一般社団法人 探偵協会 理事、日本プロ野球選手会公認代理人を現任しながら、メディアにてコメンテーター等も担当。企業法務を中心に取り扱っているが、男女トラブルや投資トラブル、不動産トラブルの個人案件も取り扱っている。その他、芸能案件や暗号資産に関する案件など特殊な分野にも対応している。

青山北町法律事務所 ホームページ

構成・文/andGIRLweb編集部

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